100人のライフワーク

老犬老猫でも安心して泊まれるペットホテルを開業したい

100人のライフワーク松永由美
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執筆者情報

松永由美(マツナガ ユミ)
ペットロスカウンセラー/ペットケアアドバイザー
【HP】https://rapport-ciel.theblog.me/
【Instagram】https://www.instagram.com/yumi_ntk

趣味であり仕事でもある私のライフワーク

私はどこにでもいるようなごく平凡な30代の主婦です。
小学生と幼稚園児、2人の子どもがいて毎日何かとバタバタしています。

「ごく平凡」とは書きましたが、私はペットロスカウンセラー・ペットケアアドバイザーとして自身でサービスを運営しています。
さらに、「老犬老猫でも安心して泊まれるペットホテルを開業したい」という目標があり、この1年で取得した資格は5つ。
今もペットホテルの経営について独学で学んでいます。

でも、以前はトリマーとして動物病院やペットサロンで働いており、自分で起業しようなんて思ったことはありませんでした。

すべての始まりは「愛犬の死」

トリマーとして勤めていた私がペットロスカウンセラーに転身し、老犬老猫でも安心して泊まれるペットホテルを開きたいと目標をもつきっかけとなったのは「愛犬の死」でした。

愛犬の夏子はトイプードルの女の子。

2019年のある日、実家の母たちと旅行に行くことになり、夏子をいつもお願いしていたペットホテルに預けました。
一緒に旅行へ連れて行っていたこともあるのですが、このときすでに13歳になっていた夏子には長旅はストレスかと思い預けることにしたのです。

2日後に迎えに行くと、ペットホテルのスタッフさんから「下痢をしているので様子をみてあげてください」と言われました。
普段からお腹が緩くなりやすい体質だったので、このときは「またか」くらいに思っていたのが正直なところです。

ですが、夏子の体調はその日からどんどん悪くなっていきました。
下痢が治っても食欲はなく、以前のように家の中を歩き回ることもなくなり、1日中ずっと布団の上で寝ているようになったのです。

動物病院に連れていっても「歳だから仕方ないね」と言われるばかりで、特に原因らしい異常も見つかりませんでした。

夏子が体調を崩してから3週間。
ついに夏子はお空へと旅立っていきました。

後悔や自責の念からペットロスに

夏子は獣医さんの言うように「歳だから仕方ない老衰」だったのかもしれません。

それでも、私の頭には「あのとき預けていなければ……」という後悔ばかりが浮かんできてしまいました。

ペットホテルはどんなにスタッフさんが優しくても、狭いゲージに入れられて過ごすことが多いため、犬や猫にとってはストレスになりやすいのです。
動物のプロとしてそんなことはわかっていたはずなのに……。
悔やんでも悔やみきれませんでした。

そうして後悔や自責の念に苛まれた私は「ペットロス」に陥ったのです。
何度も「夏子の後を追いかけてしまいたい」とも考えました。

亡くなった愛犬がくれた目標

そして、ペットロスについて調べるうちに「ペットロスカウンセラー」という職業があることを知りました。

私は徐々に「ペットロスカウンセラーの資格を取って、自分と同じようにペットを亡くしてつらい気持ちでいる飼い主さんの力になりたい」と考えるようになったのです。

さらには「老犬や老猫でも安心して泊まれる、ストレスにならないペットホテルをつくりたい」という目標をもつようにもなりました。

いつも「なんとなく」で過ごして、子どもたちが巣立った後の目標なんて何ひとつなかった私。
そんな私に愛犬の夏子が「最後のプレゼント」をくれたのかもしれない………。
今ではそう思っています。

「いい人生だったな」と笑って死ぬために

これまで自分は「子を持つ母親だから」と、自分のやりたいことは後回しにしていました。
「ママ起業家」と呼ばれる人たちをテレビや雑誌で見ても、どこか遠いような自分とは無関係な存在に思えていたのです。

でも、そんな私も今では個人事業主としてペットロスカウンセリングのサービスを運営。
そして、いつかペットにストレスのかからないホテルを開業することを目標に勉強に励む毎日です。

亡くなった愛犬の夏子から「ママだって夢を持っていいんだよ」と言われたような気がして、目が覚めた気分でした。

こうした毎日は私に「新たな生きがい」を与えてくれたようにも感じます。
命あるもの、いつ死ぬかなんてわかりません。
明日かもしれないし、今日かもしれない。
でも、その日がいつになったとしても私は「いい人生だったな」と笑っていたいのです。

そのためにも自分の一生をかけたライフワークとして「ペットや動物を愛する人々の暮らしを応援してきたい」のです。

愛犬の夏子がくれた「最後にして最高のプレゼント」。
これからも大切に生きていきたいです。