「一緒に人生を充実させる仲間を作りたい」
私はかなり仕事熱心なタイプだった。
中間管理職の仕事をしていたが、平日はしょっちゅう残業、休みの日も仕事のことを考え、仕事で結果を出すことが自分の生き甲斐であるように感じていた。
順調に昇進して給料や評価は上がり、歴代最年少で取締役会に参加、信頼できるメンバーや部下も増えて人生は順風満帆、未来は約束されているように思えた。
突然会社を辞めて世界を巡る旅に出るまでは。
旅を始めた理由はもはや分からない。
「チーム最大の目標を達成したから」「未来が見えたから」「ずっと行きたかったから」色々な理由を人に話したことはあるが、どれも自分ですらピンときていないのだ。
おそらく正解は「とにかくどこかに行きたかった」だと感じている。
人生においてまだまだ達成していないことがあるのに、このまま時が過ぎるのを黙って見ていられなかった。
とにかく、自分のいる道と自分の人生の目的は交わらないように思えたのだ。
いざ旅を始めてみると、最初のうちはストレスを感じることが多かった。
出発前に打ち立てた行動指針や目標に縛られ、自由に動けなくなったのだ。
そこで私は行動指針を捨てることにした。
そもそも「何かを変えたい」と思って出発したのにも関わらず、変わる前の自分が立てた目標に縛られていたら何も進歩できないではないか。
それからというものフラフラと漠然とした計画に身を任せ世界中を巡ることになり、スペインで家政夫になってみたり、アフリカでキャンプをして過ごしたり、さまざまなことをしてきた。
思い出深い体験として、ペルーのジャングル奥地で１ヶ月生活していた時に気付いたことがある。
それは空の美しさだ。
日の出や日没、日中も、空というのは本当に美しい。
しかも何百人も乗れる飛行機が小さく見えるくらいだから、とてつもないスケールだ。
まぁ、ジャングルから空を飛ぶ飛行機を見かけたことはなかったが。
電気もスマホの電波もなかったので、毎日のように空を見上げ、その美しさに感動する生活をしていた。
しかし、空が美しいのは何もこのジャングルだけじゃない。
世界のどこにいても空を見ることはできる。そして、世界のどこから見ても空は美しい。
当たり前のように毎朝上り夕方に沈む太陽を、刻々と変化する空模様を普段追わないのは何故だろうか？
きっと僕ががむしゃらに働いていた時も、誰かががむしゃらに働いている今この時も、空は変わらず美しいはずだ。
すべては心の在り様なのだと思う。
自分の心に余裕があって、柔軟で、世界を受け入れる準備ができていれば良いのだ。
私は長らくそんな心を忘れてしまっていたのかもしれない。
こんなに美しい世界で生きられるなら、もう他に何もいらないじゃないか。
そんな心でいつづけるために、私は私の人生において重要な要素を４つに分類した。
常に新しい刺激を受けて学び続けること、そして誰かに話すでも仕事に活かすでも、とにかく何かを表現することだ。
インプットとアウトプットをともに行う。
人は１人じゃ生きていけない。
この他者には家族も含まれるし、仕事仲間も含まれるだろう。
先の３つが噛み合えば、心をよりパワフルに保つことができるはずで、それはきっと身体の健康にも繋がる。
まずは小さくてもこの４つのバランスをしっかりと作り、次第にバランスを大きくしていくことが私の人生における幸せだと今は考えるようになった。
それを実現するために、まずはこのライフバランスに共感してくれる仲間を集めようと考えている。
というのも、自分と全く違う“新しい刺激”を「インプット」するには他者と交流するのが一番だし、「アウトプット」するにも仲間を作るのが一番だと思うからだ。
いずれにせよ「他者」の存在は欠かせないし、何より同じ考えの仲間が欲しい。
そもそも私はチームプレイが好きなのだ。
しかし問題がある。
この広い世界の中で自分の考えに共感してくれる人を探すことはとても難しいし、自分で気付いてない人もいるかもしれない。
ただただぼんやりした考えを伝えても、聞く気が湧かないかもしれない。
だからまずは、私から「インプット」も「アウトプット」もどうにかして提供できるような場所を作ろうと考えている。
方法は分からないが、そうして共感し合える仲間を作ること。
そしていつか、そんな仲間たちと共に人生をより充実させること。
それが私のライフワークだ。
