転職を成功させるためによく活用される転職エージェント。もはや効率よく転職活動するためには欠かせないサービスとなっています。
キャリアコンサルティングの担当者が人当たりがよく信頼できる人であったりすると、つい
「この人だけに任せておいても大丈夫なんじゃないか」
「他の転職エージェントも利用するのは失礼なのではないか」
と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
また、ただでさえ転職活動では求人案件の検討、必要書類の準備、面接の日程調整など、多くの面倒が生じます。いくつもの転職エージェントに登録しても、「結局どれも十分に使わないのではないか」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、転職活動を成功させるうえで、複数の転職エージェントに登録・活用することが非常に重要です。
この記事では複数の転職エージェントに登録することのメリットとデメリットを解説するとともに、どうすれば上手く複数の転職エージェントを活用できるか説明していきたいと思います。
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「非公開求人」多数のエージェントにまずは登録
転職エージェントは登録数の目安は3〜5社
「いくつもの転職エージェントに登録するなんて面倒臭い……」こう思われるのは、当然です。
ただ、転職エージェントごとに持っている案件は異なります。あなたにとって最適な転職先を見つける確率を少しでも高めるためにも、複数登録しておくことをおすすめします。
とはいえ、登録数が多ければ多いほどいいというわけでもありません。登録数を増やすことが目的になるのは本末転倒です。それに多すぎても結局サービスを使いきれません。
具体的にどれくらいの数の転職エージェントに登録すればいいかというと、人にもよりますが、3〜5社を目安に登録することをおすすめします。
「複数の転職エージェントに登録しておきましょう」というと、いまお世話になっているキャリアアドバイザーに気が引けると思う方もいらっしゃるようですが、気に病む必要はありません。キャリアアドバイザーもまた、あなたが複数の転職エージェントを利用するのは織り込み済みです。
実際、転職エージェントに2社以上登録している方は、転職エージェント利用者の6割を超えています。
これだけ複数の転職エージェントを掛け持ちすることが一般的になってきている以上、自分だけがたった一つの転職エージェントだけにこだわるのは大きなハンデを負うことと同じです。
いくつかの転職エージェントに登録し、それぞれの強みを生かし、競い合わせることで、転職活動はよりスムーズになります。より具体的に複数の登録エージェントに登録することのメリットについてみていきましょう。
1社のみが扱っている「独占案件」「非公開求人」にアクセスできる
転職エージェントに多く登録しておくことの最大のメリットは「独占案件」にアクセスできることです。
「独占案件」という言葉を聞いたことがない方もいらっしゃるかと思います。独占案件というのは「ある特定の転職エージェント1社にしか出していない求人案件のこと」を指します。
一般的な求人サイトには掲載されていないのは、広く求人を求めると志望者が増えすぎてしまうのが理由のひとつ。自然と優良企業である可能性が高いのが特徴です。
独占案件を紹介してもらえる可能性があるというだけでも、いくつかの転職エージェントに登録しておく価値があるといえます(一般的には求人を公開していないという意味で「非公開求人」と呼ばれることもあります)。
転職エージェントごとに、独占案件を持っている職種に違いがありますので、自分の希望する職種に強い転職エージェントを調べ、登録するのがおすすめです。とはいえ、まずは多くの独占案件を抱えている大手2社に登録を済ませておくことが賢明です。
大手2社とは「リクナビエージェント」と「DODAエージェントサービス」であり、この2社をおさえておけば多くの独占案件、非公開求人にアクセスすることができるようになります。
転職支援サービスを多く受けることができる
複数の転職エージェントを利用するメリットは、独占案件にアクセスできるだけだからではありません。
多くの転職エージェントでは「転職支援サービス」を提供しています。その転職支援サービスを手厚く受けるためにも、さまざまなエージェントに登録するのが肝心なのです。
転職支援サービスとは、次のようなものを指します。
- 応募書類(履歴書、職務経歴書)の添削
- 面接日程調整
- 面接対策
- 年収などの交渉
転職エージェントにはキャリアコンサルタントが用意されていますが、すべての転職エージェントが横並びのサービスを展開しているわけではありません。
担当者にもよりますが、模擬面接まで行ってくれるところもあれば、簡単な履歴書チェックだけですませるところもあります。
筆者の知り合いは2回ほど転職エージェントを利用して、転職を決めたことがあります。彼は外資希望だったため、面接は英語で行われる予定だったのですが、当時はあまり日常的に英語を使う機会がなく、内心不安に思っていました。
そのことをキャリアコンサルティングの方に告げたところ、英語での模擬面接をセッティングしてくれ、その後、具体的なアドバイスももらうことができました。その結果、安心して面接本番を迎えることができたという経験があったそうです。
とはいえ、ここまで手厚く転職支援を行ってくれるエージェントは多くはありませんし、また、たまたまセッティングできるタイミングだったのかもしれないと思います。転職支援のチャンスを逃さないためにも、複数の転職エージェントに登録しておくだけ登録しておくのがやはりおすすめです。
自分と相性の良いコンサルタントを見つけることができる
転職エージェントを複数利用することの最後のメリットは、単純にそのほうが自分と相性の良いコンサルタントが見つかる可能性が高まるということです。
一般的な人は、人生のうちでそう繰り返し繰り返し転職を重ねるわけではありません。ですから、あなたの身近な知人や友人の多くも、そう転職について深い見識を持っているわけではありません。なので、アドバイスをもらうにしても、限界があります。
一方、キャリアコンサルトは、何人もの人を転職成功にまで導いた経験があるエキスパートです。また、あなたが転職することで、求人企業から成功報酬が支払われることから、非常に親身になって相談を受けてくれるはずです。
とはいっても、なかには経験が浅い担当者もいますし、人間同士のことですから相性があうあわないがあります。転職活動の支えになってくれる味方を増やすためにも、転職エージェントには複数登録しておくのがベターなのです。
転職エージェントを複数利用することのデメリット
ここまで転職エージェントには複数応募し、登録することのメリットを見てきました。
筆者の見解では、大手2社(既に紹介した通りリクルートエージェントとDODAエージェントサービスが本命となります)と、あなたが希望する職種に強い(もしくは特化した)転職エージェントに1~2社登録するのがベストです。
それでもなかなか転職が決まらない、担当者との相性が合わない場合は、さらにいくつかの転職エージェントに追加登録していくことを検討してもいいかもしれません。
ここからは「転職エージェントへの多すぎる登録」がもたらすデメリットについて、解説していきます。
登録・キャリアカウンセリング(面談)に行くのに手間がかかる
転職エージェントに登録するのに、お金はかかりません。ですが、お金がかからないからといって、コストがゼロになるわけではありません。
何も考えずに、大量の転職エージェントに登録しようとすると、時間的なコストが大きくなります。転職エージェントの登録からの流れは、一般的には次のようになります。
- Web申し込み(氏名・住所・連絡先といった個人情報、希望職種、希望年収、転職希望時期などを登録。場合によっては履歴や職務経歴の記述も必要)
- キャリアコンサルタントとの面談
- 求人紹介
- 書類添削・面接対策
- 応募
特にキャリアコンサルタントとの面談は30分~1時間程度と長く、またどの転職エージェントでも似たようなことを訊かれるため、一度に大量の登録申し込みを行うと、うんざりするかもしれません。
Web申し込みの記述も、転職エージェントごとに微妙に記載項目が異なっていたりするため、安易に使いまわすこともなかなかできず、結局はそれなりの労力を割かなければならなくなります。
履歴書や職務経歴書のチェック、面接対策についても(当たり前といえば当たり前ですが)、すべて向こうがお膳立てしてくれるわけではなく、実りのある結果を得たければ、自分もきちんと準備し、対応する必要があります。
転職支援サービスは手厚い場合もありますが、それだけこちらもしっかりと準備・行動する必要があることは認識しておきましょう。
現職がある方は、平日の昼間は仕事に忙しいでしょうから、あまりに多くの転職エージェントに登録すると、せっかくのサービスを生かしきれなくなるかもしれません。自分のキャパシティーがどれくらいなのか判断し、いくつの転職エージェントに登録するのか決めるとよいでしょう。
応募手続き、日程調整が煩雑になる
転職エージェントを利用する意義として「より良い求人企業にアクセスできる」というものがありますが、もう一つの意義としては「効率的に、時間を短縮しつつ転職活動ができる」というものがあります。
そもそも「転職エージェント」とはその名の通り、あなたのエージェント=代理人であり、企業との面接、希望する職種、待遇・条件をあなたの代わりに交渉してくれる役割があります。そうすることで、転職の際の手間を大幅に省略化することが、転職エージェントを使うことのメリットの一つです。
しかし、数多くの転職エージェントを利用するとさまざまなスケジューリング管理を自分で行わなければなりません。転職エージェントとのコミュニケーションコストが増えれば増えるほど、転職エージェントを使うメリットの一つである「転職活動の時間短縮」の意義は薄れていくのです。
とりわけ、普段の仕事が忙しい方は、転職するためのやり取りが煩雑になればなるほどストレスを感じ、転職すること自体をあきらめてしまいがちです。転職エージェントを数多く利用して、そのやり取りに疲れてしまい、転職活動がスムーズにいかなくなるのは本末転倒です。
そういう意味でも、きちんと活用できるだけの数に絞るのが重要です。
同じ求人案件に応募してしまうことがある
最後のデメリットは、同じ求人案件に、複数の転職エージェントを通して二重に(うっかりさんなら三重に)応募してしまう可能性があるというものです。
独占求人の場合はひとつの転職エージェントにしか求人案内を出さないので、二重に応募することはありません。ですが、そうでない求人案件なら、複数の転職エージェントに求人募集をかけるのは珍しいことではありません。常に人手が足りていないような成長企業の場合は、多くの求人サイト、転職エージェントに求人を出しています。
しかし、うっかり複数のエージェントから、同一の企業に応募してしまった場合、企業側は不信感を覚えるものです。二重、三重に応募した事実は企業側には筒抜けです。応募したことを忘れているような転職志望者を採用したいと考える企業は、残念ながらありません。
また、仮に内定が決まったとしてもトラブルのもとになる危険性もあります。内定が得られたにしても、転職エージェントに支払う金額は変わらないので、たとえば転職エージェント2社を経由して応募してしまった場合、どちらの転職エージェントに報酬が支払われるのが適切なのか不明瞭になることがあります。
そうなると、応募企業にも、登録した転職エージェント会社にも迷惑をかけることになります。
それを防ぐためには、どの企業に応募したのかも、自分で管理・チェックしなければなりません。その管理を確実に自分でできる自信があれば、たくさんの転職エージェントに登録・利用しても問題はありませんが、複数登録のメリットを生かしきるためには、転職エージェントは同時に5社程度くらいにおさめておくのが良いと考えられます。
登録する転職エージェントは5社程度に絞るのが転職成功のカギ
繰り返し解説してきたように、まずは大手の転職エージェントに登録しましょう。さらに自身が希望する業界に特化した転職エージェントにも追加登録することで、自分に合った求人を見つける機会を増やすことができます。
特にエンジニア、プログラマー、webデザイナーといったいわゆる「IT系職種」は、大手だけでなく、業界特化型の転職エージェントを利用することをおすすめします。案件が非常に豊富であること、また待遇が良いものが多いことがその理由です。
最後に、業界特化型の転職エージェントも紹介しますので、参考にしてください。
大手転職エージェント2社にまずは登録
まず絶対に登録しておきたいのが、リクルートエージェントとDODAです。
その理由としては、数多くの独占案件を持っていること、それ以外にも多くの求人案件を抱えていることです。
リクルートエージェントとDODAはいわば転職エージェントの「最大公約数」ですので、まずはおさえておきましょう。
「業界特化型」の転職エージェントを利用する
ただ、自分が希望する業界に特化した、転職エージェントも利用したいところです。自分が希望する案件を多く抱えている転職エージェントを利用すると、より転職活動をスピーディに進められます。
IT・webエンジニア系の転職エージェント
現在、人手不足で売り手市場のIT系に特化した転職エージェントは確実に増えてきています。IT・webエンジニアを専門とする転職エージェントをまとめました。
転職エージェント | 特徴 |
TechStars | IT、web、ゲーム業界など、エンジニア全般の案件を扱う。大手ではできないような丁寧なバックアップ、独立まで含めたキャリア支援が特徴。 |
MIDWORKS | エンジニア案件がメイン。フリーランスの「フレキシブルな労働時間」「高単価で高収入」と、正社員の「福利厚生の充実」「安定した案件獲得」の良いとこどりを目指した、ニュータイプの転職エージェント。 |
レバテックキャリア | IT/Web系のエンジニア、デザイナーの方々向けに特化したエージェント型の転職サービス。業界最大級の非公開案件を有しているのがポイント。 |
アパレル・ファッション業界に特化した転職エージェント
根強い人気を誇るアパレル・ファッション業界の求人案件を多く持っている転職エージェントは、以下の通りです。
転職エージェント | 特徴 |
クリーデンス | 取引企業2600社以上、常時1700件以上の求人案件を持つ業界最大級の非公開求人と圧倒的実績を持っている |
BRANDMATCH | ラグジュアリーブランド、アパレル、雑貨、コスメなど、さまざまな案件を持っている。採用決定率が高く、信頼がおける。 |
まとめ
転職エージェントは、多く登録すればするだけ成果が出るというものではありません。もちろん、たった一つ登録するだけで済ませるのも損することになります。
まずは多くの案件を抱えているリクルートエージェント、DODAに登録し、あわせて自分が希望する職種に特化した「専門型の転職エージェント」を利用することで、スムーズな転職活動が可能になります。
この記事を参考に、あなたが上手に転職エージェントを選び、転職を成功させることを祈っています。