「社内営業」という言葉に、あなたはどんなイメージを持つだろうか。
「上司におべっかを使い、気に入られようとする嫌なやつ」
「本来の仕事とは関係のない、無意味な行為」
「社内で生き残るために、根回し・ゴマスリを行う非生産的な人間が行うこと」
このようなイメージ・印象を持っている方もいるかもしれない。だが、このようなイメージを払拭していただきたい。社内営業が非生産的な行為だという思い込みはまったくの間違いである。
社内営業とは、社内での味方を増やすことで仕事で成果を上げやすくし、自分のが望むポジションを獲得するための行動様式であり、スキルだ。実際に、社内営業で得られるものは極めて大きい。例えば、社内営業を行うことで次のようなメリットを得ることができる。
有益な情報、仕事を進めるうえで有力な人材の紹介を得られる
業務以外の仕事での協力者の獲得
昇進・昇給、やりたいプロジェクトへの抜擢機会
社内営業を「苦手だ」「やりたくない」と感じている人は、まずは「社内営業」に抱いている印象・認識を変えてほしい。社内営業は、仕事においてパフォーマンスを最大限発揮するための事前準備・環境構築のようなものだ。
この記事では、社内営業の意義を説きつつ、具体的に取るべき行動を解説する。苦手意識がある方も多いかもしれないが、社内営業は実行することは大して難しいことではないので、安心していただきたい。
それでは、はじめよう。
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社内営業で社内での味方を増やし、成長を加速させることができる
まずはなぜ社内営業が必要なのか、社内営業にどんな意義があるのか、改めて見ていこう。
わざわざ「社内営業の方法」から説明するのではなく、その意義から説明するのは、社内営業がうまくできていない方の多くは、その重要性を感じていないからなのではないかと考えているからである。
要するに、この章は「社内営業」を正しく捉え、マインドセットするための「助走区間」として位置づけられている。
不都合な事実:会社のメンバー全員が味方とは限らない
あなたは「同じ会社のメンバーなんだから、自分の仕事に(必要に応じて)社内の人間が協力するのは当たり前」だと思っていないだろうか。
大間違いだ。
指揮命令できる立場にいれば、直属の部下には指示を出すことはできるものの、そうではない同僚、別部署の部下には、あなたが業務命令を出すことは、組織上できないはずである。
また直属の部下だからといって、惜しみない協力を得られるとも限らない。結局のところ社内全員があなたの味方であるとは限らないのだ。
比較的規模の大きな会社に所属しているのであれば、社内の人間全員がどんな人柄で、どんなスキルを持っていて、普段どんな仕事をしているか把握するのは難しい。
あなたという人間もそれほど社内で知られていなければ、いざというときに味方になってもらい、命令ではない「仕事」をわざわざ引き受けてはくれないだろう。
本来あなたに協力する義務もなければ義理もない社内の人間を「味方」にすること、これが社内営業のキモである。
社内リソースを使わなければ最大のパフォーマンスを発揮できない
なぜ社内営業を行い、社内に味方をつくる必要があるのか。こたえはシンプルだ。単純に自分一人でできる仕事、自分一人で出せる成果などたかが知れているからだ。
会社組織では専門分化が進んでいる。だからこそ自分には持っていない能力を持った人に協力を仰ぎ、人を動かし、束ね、最大のパフォーマンスを発揮していく必要がある。
あなたの手元にある人的リソースは、まずは社内の人間である。このリソースを最大限使うためのベースとなる「人間関係づくり」「信頼構築」の方法と行動が「社内営業」だと考えればよい。
社内営業とは単に「仲良くすること」「上司にへつらって気に入られること」ではなく、自分と組織が成果を出すための基盤づくりだという認識を持ってほしい。
社内営業はリーダーにとって必要なスキル
社会人経験が浅いうちは、上司に出された指示に従い、自分なりに工夫を加え、仕事をやり抜けばそれなりの評価を得られるかもしれない。次に、自分で仕事を見つけ(つくり)、一人で成果を収められれば一人前だ。
しかし「自分一人で仕事を行う」スタイルはどこかで変える必要がある。
大きな仕事になればなるほど、自分一人の力は通用せず、人を巻き込み、連携していく必要が生じる。つまりリーダーシップを発揮していかなければ、傑出した成果を出すことはできない。
社内営業を通して味方を増やすことで、仕事を進めるうえで有益な情報、人脈を獲得することができる。そして、その情報と人的リソースを使い、成果を上げることで、自分のしたい仕事にアサインされる可能性が高まるのである。
ここまででざっと社内営業がなぜ必要なのか、社内営業を行うことでどんなメリットがあるのか解説してきた。
しかし社内営業といっても具体的にどんなことをすればいいのか見当もつかないといった方もいるだろう。それほど難しいことではない。ちょっとした習慣と、相手への配慮を身に着ければできることばかりだ。
次に、具体的に社内営業のやり方をみていこう。
効果絶大! 社内営業の基本行動を紹介
既に書いた通り、社内営業は別に難しいことではなく、気をつければできることであり、繰り返し行っていけば習慣化することができ、いずれは意識せずとも自然に社内営業を行えるようになる。
それでは、どのように社内の人間を味方に引き入れていくか見ていくことにしよう。
いちばんの基本は「ホウ・レン・ソウ」の徹底
社内で味方を増やすためには、まずネガティブな印象をもたれないことである。挨拶、明るい話し口調、「ホウ・レン・ソウ」(報告・連絡・相談)といった行動を意識することが重要である。
「何を当たり前のことを……」と思われるかもしれない。それはマイナスポイントを付けられないための当たり前の動作であり、それで社内に味方が増えるわけがないじゃないか、と。ただ、どれだけの人間が、ホウレンソウを徹底しているだろうか。たとえば「報告」「連絡」「相談」のうち何が重点的に求められているのか、そのタイミングと頻度は適切か意識しているだろうか。
このような意識を持って(必要に応じて確認を行い)、ホウレンソウを徹底するだけで、あなたという人間の信頼感はずっと高まる。
ここではすでに基本的なホウレンソウは既にできていることを前提として、差をつけるためのホウレンソウの方法を解説する。
人の協力を得た仕事は、失敗したときこそ報告する
ポイントは社内の人間から協力を得た仕事が失敗に終わったときこそ、報告を意識することだ。
人は自分が協力した仕事、あるいは任せた仕事についての成り行きに非常に気をかけているものである。社内の人間に、取引先のキーパーソンを紹介してもらったり、新規営業を駆けるための資料作りを手伝ってもらうとするだろう。
その仕事が上手くいった場合、協力を得た相手が上の立場にいる人間であれば、結果を報告し、お礼を述べるのは当然のことである。
だが、その仕事が不首尾に終わったとき、同じチーム、部署以外の人間には、その結果を報告しないタイプの人間はけっこうな割合で存在する。
「どうせ失敗したし、そんな報告をしても喜ばないだろう」「ガッカリさせてしまうのではないか」と考えて、結果を自分のなかでしまってしまうのである。
しかし、それがちょっとしたヘルプ程度であったとしても、協力者は自分が手を貸した仕事がどうなったか、あなたが思っている以上に気にかけているものだ。上手くいかなかったからといって、隠してはいけない。
相手も口にはしないかもしれないが、たいていの場合「どうなったのか報告はまだないのか」と気にかけ、時には報告がないことに苛立っている。
協力を得た仕事が失敗に終わったときこそ、結果を共有するとともに、自分の非力を詫び、協力への感謝を述べるようにするべきだ。そうすれば「失敗を潔く認め、責任を取ろうとする人間だ」という印象を持たれ、評価と信頼を得ることができる。また協力を仰いだとき、再び手を貸してくれる可能性も高いだろう。
逆にいえば、成功したときだけ報告し、失敗した場合は報告しないということが続けば「自分の評価を上げることばかり考えている」「ミスを認めようとしない」といった悪印象をもたれてしまう可能性がある。
失敗した結果こそ、共有する意識を徹底しよう。
連絡と確認はできるだけ小まめに取る
お願いしした仕事については、小まめに連絡と確認を取ることが重要だ。特に指揮系統にいない人にわざわざ依頼したのであれば、仕事内容と期日を伝えて、あとは任せるのは不誠実であり、さらにいえばリスクがある。
「仕事を投げっぱなしされた」という印象を持たれてしまえば、次回から協力を得るのは難しくなる。
「先日お願いした仕事なんだけど、本業に影響与えてないかな? 負担になってたら、すぐに言ってね」という一言を挟むだけで、仕事を丸投げにしているわけではないということを伝えられる。
同時に、そのような配慮を見せる一方で、進捗確認もできるため、万が一仕事が遅れている場合は、必要な対処を行うなどリスクヘッジの行動を取ることができる。
社内営業は「雑談」からはじめ、頻度を高めていくことが大切
社内の関係づくりを強化するためには、何か特別なことをする必要はない。単純にコミュニケーション・接触する量を増やすことを意識するだけでいい。
しかも、初期段階においては会話の「質」「量(長さ)」ははっきりいってしまえば、どうでもいい。いちばん重要なのは「頻度」である。頻度を増やすことで、単純接触効果のパフォーマンスは一気に引き上がる。
「今年の夏の暑さは、ちょっと尋常じゃないですね」
「お昼、どこで食べたんですか?」
「最近、調子はどうですか?」
この程度の会話で十分である。
話す内容が思いつかないのであれば、相手に喋ってもらい、聞き役に徹するのもいいだろう。会話の主導権を握るよりは、むしろ話を聞く姿勢を見せたほうが、好印象を持たれやすい。
「先日の土日は何をしていたんですか?」
「わたしはお酒を飲むのが好きなんですけど、このへんでオススメの居酒屋ってあります?」
このような会話をすることで、相手の興味・関心を知ることができるし、事の次第によっては一緒に飲みに行く機会を得られるかもしれない。
いきなり重要な話をするのではなく、まずは(どんなつまらない話であれ)会話することの抵抗感をゼロにするところからはじめよう。
ディナー・飲み会よりランチに誘ってみる
協力を得たい人物を見つけ、少し実のある話をしたいのであれば1対1(サシ)で、まとまったコミュニケーションを取る機会をつくりたい。
ここでディナーや飲み会に誘うと、心理的ハードルが高くなってしまう。「何か重たい話をされるのではないか」などと余計な心配をかけてしまうのである。また、アルコールが入ると、つい仕事とはまったく無関係の話で盛り上がってしまう可能性もある。
気軽に誘え、コミュニケーションをしっかり取れる場として、おすすめなのがランチだ。「事のついでに」といった調子で誘えるのもポイントが高い。
特に誘いたい人がいる場合は、ミーティングをお昼前に設定しておき「今日のランチって予定入ってます? よかったらミーティング後、そのままお昼ご一緒しませんか?」と誘ってみるといいだろう。
予定が入っていて断られるかもしれないが、特になければ気軽に応じてくれるだろう。
「次の」コミュニケーションの機会をつくる
コミュニケーションが途切れることがないようにするには、「次の」機会を意識的につくることが役に立ってくれる。
「その話、興味があるので、また詳しく教えてください」
「その施策については、わたしの事業部でも類似事例があったはずなので、後ほど共有しますね」
そして、すぐに行動に移すことが大切になる。
相手は「自分の話に興味をもってくれている」「役立つ情報をもってきてくれそうだ」と感じてくれるだろう。これを繰り返すことで、しぜんと継続的な付き合いになっていくはずだ。
他部署の目上の人間に対してはフランクに付き合う
意外に思われるかもしれないが、直属の上司でない、いわゆる「偉い人」に対しては、フランクに付き合うとコミュニケーションが上手く進むことが多い。
「フランクに」といっても限度はあるが、少なくとも媚びを売るような真似をする必要はない。間違っていると思えば「それは間違っているんじゃないですか」と言ってもいいし、「他にこんな考え方はありませんか?」と提案してもいいだろう。
その考えが甘くても、寛容に聞いてくれるはずだ。相手も何か決定的に重要な示唆をあなたが与えてくれるとは思っていない。ちょっと面白い話が聞ければ御の字くらいに思っているはずだ。
他部署の上司であれば、直接的な利害関係もなく評価者でもないため、逆にフラットに付き合えるのである。また直属の部下には言えない話を聞くこともできるかもしれない。
そんな「秘密」を共有してもらえるようになれば、いざというときに強力な味方になってくれるだろう。
年下に対してはフォロワーシップをもって接する
逆に相手が年下で、役職も下であれば、ついつい先輩風を吹かせたくなるかもしれない。しかし、これは絶対に避けよう。
ただでさえ、年次が上だったり、役職がついていると相手は「自分が下、相手が上」という意識を持ちがちである。その場合、個人的な「お願い」をしているつもりでも、相手は「命令」と受け止めてしまう。
社内営業は「部下を増やす」ことではなく、繰り返しになるが、組織の指揮系統に関わらず、自らあなたの味方になってくれる人間を増やすことが目的だ。
だからあなたも後輩にはしっかりとサポートを行い、フォロワーシップをもって接するべきだ。
年下に対しては親近感を覚えてもらうようなコミュニケーションを心がけ、仲間意識を醸成するようにしよう。
さて、ここまで社内営業の基本をお伝えしてきた。正直にいうと、上記のことを心がけ、行動すれば、社内に味方は増え、結果的に仕事も進むようになり、何より仕事がおもしろく感じられるようになっているはずだ。
ただ、より社内営業を仕事に活かしたいのであれば、有力者・キーパーソンを味方につけたり、自分の評価が上がるように立ち振る舞ったりする必要がある。
次に「社内営業・応用編」として、実践的な行動を紹介していこう。
これができれば社内営業の達人!味方を増やし、自分の希望を叶えよう
それでは、さらに社内営業を加速させ、自分の望むポジションを獲得し、昇給・昇進を叶えるための方法を紹介していこう。
影響力の大きい「キーマン」を味方につける
効果的な社内営業を進めるうえで、最も大切なのは有力者・キーマンを味方につけることである。
味方は多ければ多いほどいい。ただそのなかにキーマンが含まれていなければ、社内で十分な協力・情報を得ることができないことも往々にしてある。
キーマンを味方に引き込むことが、社内営業の成否を分けるのである。
キーマンの見つけ方
まずは誰がキーマンなのか見極めなければ、キーマンを味方にすることはできない。そのため、ここではキーマンの見つけ方を紹介しよう。
もしかしたら「結局、社長がキーマンなんだから、社長を味方につければいいだけの話だ」(もしくは「自分がアクセスできるいちばん上の役職者を味方につけよう」)と考える方もいるかもしれないが、これは間違いとはいわないまでも、的を外した意見である。理由は2つだ。
- 社長は「今現在」一番権限を持っているだけで、将来は変わる可能性がある
- よほどのワンマンでない限り、社長だけで決定される社内事項は少ない
たしかに社長は会社の最終責任者であり、最終決裁者でもある。しかし会社によっては、社長が定期的に変わることもあるし、社長だけを味方にしようと躍起になってしまえば、将来のキーパーソンとのコミュニケーションが疎かになる。
また、社長一人の独断というのも案外少ないものだ。現場を知らないのはよく自覚しているため、各事業部長などに情報を吸い上げてもらい、そのフィルターがかかった情報から、話し合いを経て、決定に至ることがふつうである。形式的な決裁は社長であっても、実質的な決定者は誰かを見極めよう。
フォーマルなキーマンは社長かもしれないが、「インフォーマルなキーマン」すなわち、その人の意見なら通りやすいといった影響力を持つ人間が必ずいる。
そのキーマンの見つけ方として、まず情報が集まりやすい部署の人間にアプローチするのがいちばん手っ取り早い。具体的にいうと、経営企画室、CTO室、広報、秘書あたりが情報が集まりやすく、また役職者への影響を与えやすいため、ぜひアプローチしておきたいところだ。
また、それなりの役職にある第三者に、キーマンと思われる人の影響力について探りを入れるのもアリだ。
たとえば「〇〇さんの意見はだいたい通るらしいですね。〇〇さんはロジックがしっかりしているから当たり前かもしれませんね」などとさりげなく褒める。その反応が「そうなの?」「ふーん、そんな噂があるんだ」といったものだったら、〇〇さんがキーマンでない可能性が高い。
逆に「そうなんだよ、彼は経営陣からの信頼も厚いんだよね」といった反応があれば、間違いな〇〇さんはキーマンである。
キーマンとの信頼関係を築く
キーマンだと判断した人に、いきなり仕事の話を持っていくのは禁物だ。キーマンは自分の影響力を知っているため、近寄ってくる人間に対して警戒心を持っている。
そして権限、利権目的で近づいてくる人間には、キーマンは非常に冷たい。
だから、最初のうちは絶対に仕事の話をするべきではない。キーマンの持つ影響力に興味があるのではなく、その人そのものに対して興味があるという態度を徹底しよう。
飼っているペットの話でもいい、趣味や健康の話でもいい、とにかく仕事に無関係で、しかもキーマンと共通する話題を一つでも見つけることが重要だ。そうすれば一気に距離を縮め、信頼関係をつくることができる。そうすれば警戒心というガードを突破することができる。
ガードを突破した暁には、あなたのためにいくばくかの労力を払ってくれるはずだ。
キーマンを巻き込むための依頼術
キーマンに仕事上でお願いしたいことが出てきたら、その伝え方が問題となる。気をつけたいのは次の2点だ。
- 「あなたに」お願いしたいという姿勢を示す
- 依頼内容は魅力的に見えるように渡し、メリットを伝える
キーマンに依頼する仕事は誰もができる仕事ではないはずだ。キーマンは能力が高く、相応の自尊心を持っている。それなのに「誰でもできる作業」としてお願いすれば、嫌な顔をされて断られるのがオチだ。
「この仕事を上手くしてくれるのは、あなただけだと思うんです」と多少盛ってでもいいから、あなただからこそお願いするのだということを示すべきだ。
しかし、それだけでは足りない。さらにキーマンがその仕事に協力するだけのメリットも伝えなければ、動いてはくれない。
「この仕事は、わたしの部署で初めての取り組みになると思うのですが……」
「社長もこの仕事にことさら期待しているようで……」
こんな言葉とあわせてお願いすれば、許諾してもらえる確率は飛躍的に高まるはずだ。
以上、キーマンの攻略法を紹介してきた。当然だが、社内でキーマンとなっている人物は有能で、簡単に心を許してはくれない。だからこそ、その協力を得たときのメリットは莫大だ。
自分の能力と意志を周囲に伝える味方をつくる
自分の就きたいポジションがあるなら、それを積極的に開示して、事あるごとに周囲の人間に伝えていこう。ただ「単純に興味がある」「おもしろそうだ」というレベルなら、わざわざ言う必要はない。
軽い興味があるだけで、仕事をやり抜く自信がないのであれば、仮に希望のポジションにアサインされても成功はおぼつかない。
ただ、どうしてもその仕事がやりたいのであれば、キーマン含め周囲の味方となっている人たちに具体的にどういうことがやりたいのかビジョンを伝えるようにしておこう。
「わたしだったら、あそこに営業をかけて売上を固めたい」
「あの部署は利益率の低さに悩んでいるようだから、広告予算を一部削減して、ローコストでできるブランド認知向上の施策を打ちたい。具体的には……」
といった形で、具体的に自分が考えていることを周囲に伝え、さらにそうすることで、どういう良い結果が得られるか示すと、さらに味方を増やすことができる。
それを普段から口にしていることで、ひょんなことから望みのポジションを得ることができるのである。もちろんこれはいまいる部署の仕事に前向きに取り組み、成果を出しているのが前提だ。
他者への称賛は積極的に広める
最後に社内営業を成功させる秘訣に触れておきたい。それは、「協力を得たい、しかも自分より権力を持っている人間は陰で褒める」ということである。
「陰口」でありながら、称賛の言葉を積極的に口にするのがポイントだ。
直接、その人を褒めてもあまり有効に機能しない。悪くすると「お世辞ばかりいう奴」という認識を持たれる可能性がある。
そこで第三者に、常日頃からキーマンの判断力、能力、人格を褒めたたえておくのだ。実際に本人の耳に入るのはそのうちの僅かかもしれない。しかし、それでいい。
このような積み重ねが、ある時、キーマンの耳に入り、あなたは知らずして好意を得ることができる。
まとめ:社内営業をツールとして活用していこう
この記事では社内営業で注意するべき点、実践的な方法を紹介してきた。
最後に注意しておきたいのは、社内営業を目的化しないということである。あなたは仕事で成果を上げ、昇進・昇給を達成し、希望のポジションに就き、日々楽しく仕事をしたいと考えているはずだ。その目的を忘れないでほしい。
社内営業は単に社内に「お友達」をつくることではない。
優秀なビジネスマンが周囲を味方にして、巻き込み、大きな成果を上げるためのツールなのである。